BB-3473 Jadques OFFENBACH:Les Roses du Bengale/pf.
♪「ベンガルのばら(6つの感傷的なワルツ)」は若いオッフェンバックがピアノのために作った
一連の舞曲のうちの一部を集めたものであるが残念ながらこれらの作品についての
詳細はあまり知られていない。
この6つのワルツはそれぞれ異なった時期に様々の動機によって作られたものが
曲集としてひとつにまとめられて出版されたのである。
それぞれの曲は下記のようにパリの貴族階級出身の特別の女性達(ばら達)に
献呈されたがやっと20才になったばかりのオッフェンバックにとって
この小さな花束(曲集)はどうでもいいことであり
友人Friedrich von Flotow(フリードリヒ・フォン・フロトウ)の紹介で
出入りするようになった社交界のサロンで特別な位置を得るための
一つの方法だったことは確かである。
・Clemence de Reiset (1828~1907)
作曲家。Flotowに作曲を学び、ショパンにも師事。結婚後2年間サン・サーンスにも
師事しサン・サーンスは彼の作品Oratorio de Noelを彼女に献呈している。
その後も作曲を続けた。
・Herminie de Alcain (1826~1887)
・Virginie de Bletterie
・Emilie de Giresse
・Leonie de Vernon
・Ursule de Beaumont
この曲集はEditions Henri Lemoineより出版され、
その確実な出版年は定かではないが1840年代の初めだったと思われる。
この6つのワルツは、舞踏会用に作曲した数多くのワルツとは違い
優美なこと、独創性及び対比の豊かさと言う点で
日頃から親しんでいる“夜会”のためを意図したものであることは明らかである。
この様なわけでこの6つのワルツのオーケストラ版は見当たらないが
唯一最初のワルツだけはパリのサロンでの演奏を想定したピアノ四重奏版(2ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)があり、
この無題のワルツの自筆譜は2番目のValse Tyrolienne の自筆譜と共に
オッフェンバックの遺族所有のアーカイブに保存されている。
この2番目のワルツは1842年7月11日に作られた表題には以下の様に書かれている。
『ひとつの花(簡単なワルツ)−エルミニー・ドゥ・アルカン嬢の誕生日のために音楽に
思いを込めて作曲。ジャック・オッフェンバック』
因みにエルミニー・ドゥ・アルカンは後にオッフェンバック夫人となった人である。