HL-983 LISZT:Les Jeux d'eaux a la Villa d'Este/pf.
♪巡礼の年第3年より
リストはローマの近くチボリにあるエステ荘にしばしば
客人として招かれていた。
“エステ荘の噴水”はこの館の特色である水を
ふんだんに使った造形物のひとつ、きらきら輝く噴水の
楽しげな様子を表したものである。
印象主義の響きのあるリストのこの晩年の作品は
「巡礼の年 第3年」より抜粋され、
今回ピースで出版されたのである。
リストは「巡礼の年」という題名で3巻作曲しているが
それぞれは別の時期に書かれたもので、
第1巻(スイス)と第2巻(イタリア)の殆どの作品は1830年代に
彼がMarie d'Agoultと共に2つの国を旅行した時の作品である。
第1年では主に自然に対する印象が反映されており
第2年のそれぞれの作品はイタリアの芸術や書物との出会いを表している。
第3年の7つの作品は1860年代と1870年代にかかれたものであるが
その様式に第1年や2年とは明らかに大きな違いが見られるのは
その内容に関連していると思われる。
第2番〜第4番(エステ荘の糸杉、 噴水)はやはり自然に対する印象を
反映しているものの「エステ荘の噴水」の144小節目にリストによる
以下のような脚注が付け加えられている事が偶然とは言えないのは明らかである。
※脚注:「ヨハネによる福音書」第4章14節
(しかし、私が与える水を飲む者はだれでも
決して渇くことがありません)私が与える水は、
その人のうちで泉となり、永遠の命への水が湧
き出ます。
*「わたし」はイエスのこと。
1860年代以降、宗教的な主題への志向が強くなるにつれ
リストの心の内には宗教的な巡礼者の旅という思いが広がって
行ったのであろう。
第3年の残りの4曲には最初から宗教的な題名がつけられている。
(1.夕べの鐘、 守護天使への祈り 5.哀れならずや
6.葬送行進曲 7.心を高めよ)
(編集者Ernst Herttrichno序文及びヘンレの紹介文より)